月に一度、処方箋をもらいにかかりつけ医のところへ行っている。
ここはいつ行っても、大丈夫か?と心配になるほど客がいないので、待つこともなくすぐに診察を受けれるのはありがたい。
クリニックと先生の自宅は同じビルで、なので先生は毎日通勤にも悩まされず、逆に診察室に閉じこもって暇を持て余しているのか、行くたびにいろんな話題を振ってくる。
この前は「東京物語」の話になった。
登場人物をかわるがわる答えていくというゲームが始まってしまい、原節子に笠智衆は毎度おなじみで、東野英治郎あたりから怪しくなってきた。
先生の番になって先生は「山村総」と言い、「山村総って出てましたっけ?」「お兄さん役の人、医者で」「あの役って関口宏のお父さんじゃなかったでした?」「いいえ、山村総です」って私の敗色が濃くなり、じゃあそろそろ帰りますと腰を上げようとすると今度は、「じゃあ、印象に残っているセリフは?」と次の展開となり(先生と違って私そんなに暇じゃないんですけど・・・)、先生は原節子の最後の泣けるセリフを言って、え~、じゃあ、私はと、杉村春子の「お母さんのあれあったわね、私貰っていくわ」と亡くなったお母さんのタンスから帯留めだかなんだか忘れちゃったけど遺品を貰って帰っていく場面でのセリフをあげ、先生はそんなセリフありましたっけ?と言うのだが、私はよ~く覚えています、杉村春子は上京してきた両親への態度もひどかったです、と答えたところで、お客さんが来た気配がしたので、ではこれで失礼します、と処方箋を貰って帰ってきた。
そしてこの前は、子供の頃テレビで何を見ていたか?という話から始まって、ウルトラマンの話になった。
ウルトラQはモノクロだったけど、怖かった~、夜中にトイレに行けなくなった。
でも私はウルトラセブンまでですね、と言っているのに、帰ってきたウルトラマンの話になって、帰ってきたってことはウルトラマンと同一人物なんですよね?え?別人?じゃあ、帰ってきたって何?苗字?それからウルトラマンタロウの話にまでなって、私はまったくわからないので、ただただ話を聞いていたのだが、先生、それって何歳くらいの頃?はあ?高校生?高校生にもなってウルトラマンを観てたんですか?つか、ついていけないのでこの話はもういいよ、って思い始めたところに来客の気配がしたので助かった。
毎回これで診察代と処方箋代を取られるのはなんだかなぁ、と日本の医療制度に疑問を持つのである。